今様の浮世絵版画を創作する

  2007年4月6日(初稿)、2008年11月2日(改訂第3版)

  色彩芸術論の専門家として・・・(多元芸術作家・国画会版画部会員)いわた・きよし
色彩心理学・色彩物理学・色彩工学の専門家として・・・(株)イソップ代表取締役 岩田 清

 私の木版画やアルゴリズム(算法:algorithm)版画、そして、ビデオアートやアルゴリズム動画を永久収蔵している
世界の著名な美術館が、「いわた・きよしの芸術活動の原点である」として独占収蔵を狙っている、
だからこそ私としては、それを絶対に手放したくない、
私が16歳(1957〜58年)のときに描きまくった水彩画シリーズの内の一枚をベースにして、
それからの50年間に蓄積した様々なノウハウ(知見と技術)を総結集し、
具象系の「CG追い描き(Post Draw)版画」=「今様の浮世絵版画」を創作しました。

  

「CG追い描き(Post Draw)版画」とは

既に価値を認められている絵画・版画を基盤(素絵)にして、その上に、
CG(Computer Graphics)ソフトウェア(アルゴリズム、プログラム、アプリケーション)と
CGハードウェア(コンピュータ、スキャナ)とを、「制作者の有能・忠実なロボット」として活用の、
追い描き(Post Draw)を施されたことによって、新たに産み出された、「本物の版画」です。

  
            

      素絵= 「オリオンとシリウス」1957年1月6日    第一次・CG追い描き版画「オリオンとシリウス」2006年7月16日

  
  

第一次の直後に産み出された、  第二次・CG追い描き版画 「火星とアンタレス」2006年7月16日

  
  

第一次のCG追い描き版画をベースに半年後に産み出された、  第二次CG追い描き版画#2「猫の会議」2008年1月6日

  

「CG追い描き版画(PostDraw)について、もう少し専門的に記せば・・・、従来の版種、
「木版(板目木版、木口木版、紙版、樹脂版、木工ボンド+石膏版、粘土版、瓦版、野菜(芋、藷、薯、蓮根)版、
タイプライティング、スタンプ、印鑑、手形、拓(フロッタージュ)、活版)」 = 凸版」、
「銅版(ドライポイント、メゾチント、エッチング、アクァチント、グラヴィア)、樹脂凹版、木質凹版 = 凹版」、
「石版(リトグラフ)、亜鉛平版(オフセット)、樹脂平版、木質平版、蒟蒻版、デカルコマニ、墨流し = 平版」、
「合羽版(ステンシル)、謄写版、セリグラフ(シルクスクリ−ン)、洞窟壁画に残された負の手形(シルエット) = 孔版」、
「コピー版(湿式コピー(青写真)、乾式コピー(普通紙コピー)、リソグラフ、ジグレー版画 = 複製、複写」とも、
「算法(アルゴリズム:algorithm)版画 = 数式処理プログラミングに基づく版画」とも異なった、
コンピュータと、
入出力機器(ディスプレイ、マウス、デジタイザ+スタイラスペン、トラックボール、デジタルカメラ、スキャナ、プリンタ)と、
CGソフト(プログラミング、あるいは、二次元静止画を扱う、いわゆる「お絵描きソフト」)とによって形成される
新しい美術創作手段と、その行い、その行いの成果物を指す言葉」ということになります。

  

「CG追い描き版画(Post Draw)」と
「アルゴリズム(algorithm)版画」
「ジグレー版画」との相違点について、

プリンタ出力だけに注目していたら、この3種類の版画の相違点は絶対に見えません。 
しかし、「原画が何処に存在するか」と「手作業か自動か」とに注目すれば、これらの版画の相違点は明解です。

「出力されたものが本物」=「CG追い描き版画」「アルゴリズム版画」◆「原画の複製(レプリカ)」 =「ジグレー版画」。

  「手作業」=「CG追い描き版画」「ジグレー版画」◆「アルゴリズムに従いコンピュータが演算」=「アルゴリズム版画」。

「CG追い描き版画」も「ジグレー版画」もコンピュータを駆使しますが・・・、
コンピュータに与える命令が、制作者(=絵師・彫師)に有るのが「CG追い描き版画」であり、
コンピュータに与える命令が作業員(オペレータ)(=刷師)に有るのが
「ジグレー版画」です。
これに対して、「アルゴリズム版画」は、
目的に適ったアルゴリズムを考え(システムインテグレータ:SI)、
このアルゴリズムに沿ったプログラムを作り出す(システムエンジニア:SE、プログラマ、コーダ)ところまでは、
制作者(絵師)の手作業ですが、
コンピュータがプログラム通りに演算(彫師)したデジタルデータ(製版)を
プリンタが、他のどの版種よりも忠実に出力(刷師)する訳です。
コンピュータやプリンタを活用するためにも、オペレータ要員やメンテナンス要員という人手が必要ですが、
 この要員が主体ではないことは誰の目にも明白です。

  

「CG追い描き版画(Post Draw)」側から見た
「アルゴリズム(algorithm)版画」と
「ジグレー版画」との相違点について、の「おさらい」

 「CG追い描き版画(Post Draw)」が、高性能プリンタを主要出力としているところは、
「アルゴリズム版画」、「ジグレー版画」と類似していますが・・・、

「ジグレー版画」には、 本絵=元絵(原画)≠素絵 が必ずあります。
この事実によって、「ジグレー版画」は、一元的には「高度な複製(レプリカ)でしかない」と結論つけられます。
それ故、「ジグレー版画」のデジタルデータは「複製(レプリカ)のための版」であると定義されます。

従って、原画が存在している状態で、「ジグレー版画」が本物で在り得るためには、
原画作者自身が、原画を破棄した上で、「ジグレー版画」に直筆署名して、これを本物に置き換える必要があります。

ここに、既に、最終的結論が見えています。
原画作者自身が、原画を破棄した上で、「ジグレー版画」に直筆署名するのであれば、
 例え、原画の赤が、黄や緑や赤に変わっていても、
原画作者自身が「本物」として直筆署名しているのですから、これは紛れも無い本物なのです。

逆に、原画制作者の署名を不正スキャンして、素人の眼を欺くことも容易に出来る時代になりましたが、これは、紛れも無い犯罪です。
しかし、専門的に言えば、本物と全く区別できなくすることが出来るのは、
原画が、ほぼ完全な平面で、かつ、版画用紙内部に絵の具・インクが食い込んでいない版画、すなわち、一部の石版画(リトグラフ)か
セリグラフ(シルクスクリーン)以外は、素人目には本物に見えても、
顕微鏡や化学的成分分析装置などの証明装置を使えば、簡単に偽物であることが判ってしまいます。
本物と完全に一致した解像度でスキャンしたデジタルデータでなければ、
 画像の一部を拡大すれば、本物と偽物(レプリカ、コピー)とを見分けることは容易です。
 解像度を悪意有る第三者に簡単に見破られる値に設定しているような愚かな作者を、その道の玄人(プロ)とは認めません。

和紙(奉書、楮、鳥の子、雁皮)は、洋紙に比べて絵の具の浸透率が高いので、
また、手刷りによる刷圧の変化が加わるので、江戸時代の浮世絵版画を、どんなに成功に複写しても、
偽物を見分けることは、玄人であれば容易です。

銅版画はインクの盛り上がりが、「ジグレー版画」では完全には再現できません。
絵画(日本画・油彩画・水彩画など)の場合、
制作者は、その絵画を版画の下絵として制作していませんから、この理由により、
「ジグレー版画は絶対に本物には成り得ないのです。
それ故に、購買者がこのことを充分に承知していない状況での売買契約は、
最悪、詐欺罪に当たると責められる恐れがあります。
つまり、100%天然果汁ではないジュースは、
消費者から偽物として糾弾される可能性が皆無ではないことに似た危険に、
「ジグレー版画」は常時付き纏われているのです。

このことから、版画家(版画家の卵)が、
「ジグレー版画」生成手法で、版画コンクールに応募するのであれば
、 必要枚数の「ジグレー版画」が出来上がった時点で、原画を破棄しなければ、
「ジグレー版画」は、他のコピー版画同様、本物には決して成り得ないのですから、
これを充分に理解しないと、危険に遭遇すると留意すべきでしょう。
版画収集家も、この確認を怠ると偽物を掴まされる危険が濃厚だということです。

これに対して、「CG追い描き版画」は、本絵(原画)≠元絵=素絵です。

つまり、日銀から発行された紙幣全てが本物であるように、
「CG追い描き版画」そのものが限定数枚分存在する本物ということです。

それ故、紙幣に対するものとは違いますが、「CG追い描き版画」には、
「CG追い描き版画」に最適な手法による偽物防止処置が施されています。
言い換えれば、「CG追い描き版画」において元絵は「CG追い描き版画の素」なのです。

つまり、「CG追い描き版画」において、本絵≠元絵=素絵であることによって、
元絵は何種類もの「CG追い描き版画の素」に成り得ます。
従って、「CG追い描き版画」は、
元絵(素絵)と本絵の間に時間を描き込む(封入する)ことや、
時間をスリップさせることが可能です。
この「画面からの時間の開放」こそが、「CG追い描き版画(Post Draw)」の最大の長所です。

  

「今様の浮世絵版画」とは

いわた・きよしの具象系「CG追い描き版画」のことです。

それぞれの「今様の浮世絵版画」について解説することは、時間的に不可能ですが、
このシリーズ実践に当たって書いた解説書は、次のものが在ります。

今様の浮世絵版画を創作する#1

今様の浮世絵版画を創作する#2

今様の浮世絵版画を創作する#3

今様の浮世絵版画を創作する#4

今様の浮世絵版画を創作する#5

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